1314人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「最近はタオルのおしぼりを出す店が減ったのが残念だよ」
それを聞いて、私は笑うのをやめてしばらく考え込んだ。それから一つの方向性を思い浮かべた。
「……わかりました。頑張って恥かきます」
「その調子。午後も頑張ろう」
それぞれにリフレッシュした西岡課長と私は庭園を出て戻り始めた。
「ところで、いい男とはその後どう?」
「誰ですか、いい男て」
「名前言おうか?」
「いいです!」
さっさと白旗を掲げ、私は素直に答えた。
「たまーに喋りますよ。同郷ですから」
あれから遼太郎とはたまに喋るようになった。
仕事のやりとりだったり軽い挨拶だったり、その程度だけど、一度だけ残業していたメンバーでご飯を食べに行った時、彼も一緒だった。
席が遠く言葉を交わすことはなかったものの、仲間と笑っている彼を見たのは新鮮だった。
その中に市川さんもいて不愉快だったにしても。
最初のコメントを投稿しよう!