消せない恋心~嫉妬と誤解

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その日は金曜日だった。 恋人との食事だったり女子会だったり、世の女子たちはみんな楽しい夜を過ごしているのだろう。 でも私は相変わらずの残業で、仕事を終えたのは夜の十時を回っていた。 通用口を出ると、気持ちの良い夜風が髪を揺らした。 立ち止まり、風に当たりながら一週間の仕事を終えた開放感を味わう。 五月は好きな季節だ。 まださほど暑くもないし雨も少ないし、休日が楽しみな季節でもある。 明日は久々に休日出勤もないし、多摩川にでも散歩に行ってみようか。 「お疲れ」 ところが、私はそこが通用口であることを失念していた。 声と喋り方だけですぐわかる。 運悪く……と表現すべきか、出てきたのは遼太郎だった。 「お疲れ様です」 慌てて通り道を開け、駅の方向に歩き始める。 当然、同じく駅に向かう遼太郎と一緒に歩く羽目になった。
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