第十三章 蜘蛛を持つ男 三

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 その蜘蛛の大きさは、歩くどんぶり程であったという。そこで、日本にはそんなに大きな蜘蛛はいないと、笑われていた。 「でも、いたよな。これ、遠くから撮ったヤツだけど、ほら、これ配管だろ。それと比較してみろよ」  しかし、話を聞いていると、この周辺では蜘蛛の目撃情報が多かった。しかも、蜘蛛が猫を食べていたなどの、ネタもあった。 「蜘蛛の殺虫剤ってあるのかな?」 「ハチでいいのではないの?」  俺も、蜘蛛の殺虫剤というのは知らない。蠅叩きでいいようなきもするが、大きい蜘蛛が潰れると始末に困る。やはり、箒で掃き出だすというのが正解ではないのか。  焼き鳥が来ると、谷津がおもいっきり七味をかけていた。もう味が分からなくなるのではというような量で、焼き鳥が真っ赤になっていた。 「谷津、七味をかけすぎ」 「俺、七味が好きなのよ」  そこで、俺達も蜘蛛の話になってしまった。谷津は家族に×がいなかったので、かなり孤独であった。そこで、自分だけ長生きするのならば、生贄でもいいかもしれないと思っていたらしい。結局。谷津は俺と契約してしまい、長生きはできなくなった。 「上月が、もしかしたら蜘蛛のせいで長生きで、その姿のままだったとするだろ。ふと、想像して、それもいいかなって思ったよ」 「……そうか、俺は子供と間違われるままは嫌だよ」  子供と間違われるようでは、行動や仕事に制限が出てしまう。 「まあ、すぐに止まるわけではないでしょ。それに、止まると決まったわけでもないしね」  焼き鳥は、キャベツの上に置かれていたのだが、このキャベツと焼鳥の組み合わせが美味しい。どちらも、とめどなく食べてしまいそうであった。 「小出さんの散った蜘蛛というのは、何を食べて生きているのだろうね」  そこで、谷津は小出から聞いた情報を纏めてくれていた。でも、よくまとまっていると感心していると、李下が大慈を連れて来ていたらしい。大慈が、しっかり記憶してくれていたのだ。 「野生動物を食べているのか……」  蜘蛛は、闇だけ食べているのでもないらしい。 「……肉食なの?」  そこで、基本的な疑問点を持ってしまった。この蜘蛛は、昆虫を食べていないのか。 「そうみたいだね……」
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