第十四章 蜘蛛を持つ男 四

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 あちこち蜘蛛の気配を見て回ってから、巨大ショッピングセンターに行ってみた。ショッピングセンターの中は、かなりの人が来ていて、どこも列ができていた。朱火駅からも近いのだが、俺はここに来たのは初めてであった。谷津も始めて来たので、移動には地図がいる。 「凄い人混みだよね」 「本当。見ているだけでも、疲れる……」  これだけの人が、来ては去っているというと、何だか不思議な気もする。俺は慣れのせいなのか、商店街レベルが一番しっくりとくる。 「特に買うものもないし、帰ろうか……」  谷津とショッピングセンターを抜け、駅へと歩き出す。すると、今度は飲食店などが目についた。慣れていれば、外でご飯を食べた方が安いし早い。  電車に乗り込むと、駅の反対側なども眺めてしまった。 「谷津、蜘蛛でさ。人も×も長生きになったら、何か変わるのかな」 「まあ、×の取り残される気持ちは軽減するでしょうかね。でも、この蜘蛛、適性があるみたいだ。それに妊娠した女性の場合は、流産しやすい」  蜘蛛は、誰にでも住めるわけではないらしい。  蜘蛛がついたまま妊娠というのも出来ないらしい。やはり、蜘蛛が血を餌としているのが、問題になる。子孫を残すためには、女性は蜘蛛で時間を止めるような事ができない。子孫繁栄とはいうが、常に女性は不利になっている気がする。
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