第十四章 蜘蛛を持つ男 四

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「西崎と寝たのですね?」 「そう……泥人形の具合を見ようと思ってね。するとさ、あれは凄いね。演技かと思うくらいに、西崎はアンアン善がってくれていたけど……」  しかし、内臓が冷たく、動きが硬かった。 「でも、冷たくてね……やはり、熱い感じがいいよね。それと、腸壁なのかな、硬い。鮫肌で擦り切れてしまいそうになるし……」  泥人形では、伸び縮みがないので、だんだん重くなってくるという。 「俺の後に、小出が試してみて、唸っていた。水分量とやはり温度が不足しているらしい」  永新は正直に言ってくれたが、谷津は下を向いてしまった。西崎は、男は止められなかったとうことか。 「あのな、西崎は体を治して、谷津の所に行きたい一心で抱かれていたよ」  小出は、西崎で卵を孵す事は保留にし、成体の蜘蛛を住まわす事にしたらしい。 「まず、おおまかな内臓を再生させてから、成体の蜘蛛を排出し、卵に切り替える」  完全成体の蜘蛛では、内臓の細かい再生はしてくれないらしい。生存に必要な、最低限の再生で終了してしまう。 「泥人形は相手の望む形になって、望む動きをしようとするだろ。動き的には西崎、絶品だよ。ある意味、西崎と一回でも寝てしまうと、忘れられないかもな……」  もしかして、潤滑剤の代わりに、泥人形を使用すると凄い事になるのかもしれない。今度、慧一に開発して貰おう。 「兎屋が蜘蛛を知りたいらしくて、小出は暫し兎屋の男だね」  それは大人の関係なので、どうなっても構わない。でも、西崎は少し気になる。又、谷津と尋ねてみよう。 「あ、上月。燻製の卵、昨日つまみにしたけど余っているよ」  買い過ぎたので、喫茶店ひまわりにも一箱置いてきていた。他にまだ余っていたので、食べてみると、かなり美味しい。 「プリンもあるよ」  そこで、皆でプリンを食べてしまった。 「誓悟ちゃんは、お堅いよね」 「俺は普通。永新が変なだけ」  ホストの黒川に、お堅いはないだろう。  永新は小出と蜘蛛についても話していて、蜘蛛も縄張りがあるので、異なる種の蜘蛛は村に入れない方がいいという。そこで、蜘蛛使いのような人材を、村で育成しようとしていた。 「蜘蛛使い?」 「そうだね。主な理由は、守人様に蜘蛛がついているので、守るためだ。他の蜘蛛の攻撃を避けたい。でも、蜘蛛使いは人にしかなれない。候補としては、西崎はどうかと思う」
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