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谷津が動く指を使用して、かなりのスピードで端末を操作していた。自宅や店には、店主の姿はなく、谷津は防犯カメラで居場所を探していた。
「それと、怨恨だとすると、犯罪を見ている可能性が高いよね」
望みが達成されるのを、自分の目で見たいだろう。犯罪が起こった時点の映像を、片っ端から集めてみた。
それと、谷津は監視カメラに無断にアクセスした回線を追い掛けていた。
「後は、小さい蜘蛛に餌を与えて、帰してみるかな……」
「うまく、帰るかな……」
谷津としては、恨みの本質を知りたいらしく、殺された人の素性を調べていた。
「妻が殺されたのに、犯人扱いした挙句、事故で済まされた」
それも相当恨むが、それだけでは、無差別殺人をするまでは恨まない。当事者を殺して終わりになるだろう。もっと、広範囲な恨みがあるはずだ。
「元の仕事で罵られて、死んで当たり前と言われたとか?」
それは、相当に腹が立つだろう。俺も、偽守人様と言われて、死んで当然と言われた事もある。きっと人には、触れられたくない傷がある。
「残っている記録を読んでみる」
すると、慧一から連絡があり、記録を寄越せば読んでおくと言われた。慧一も、こちらの動向を見守っているらしい。
「慧一さん、お願いします」
素直に谷津が資料を渡すと、十分もしないうちに慧一から連絡が入った。
「お好み焼き屋は、空き巣に入られていて、その時に来た警官に、自業自得と罵られた。その映像がインターネットに流れて、今度はその警官が左遷されて、自業自得と書き込まれていた」
その時の警官の顔写真を見ると、どこかで見たような気がした。谷津と、野次馬を拡大して見ていると、この男は幾度か野次馬の中にいた。
「慧一、この警官は、今はどこにいるの?」
「僻地に転属になって、警察を辞めた。その後、妻と離婚して、実家の農家を継いだとある」
農家では、勤務時間が分からない。そして、畑では防犯カメラでも監視できない。
「あ、お好み焼き屋の店主を見つけた……」
監視カメラの位置から、かなり離れていてよくは見えないが、蜘蛛に追われているようだった。
「……復讐しているのは、この警官だったのか」
自分が左遷させるきっかけを作った、お好み焼き屋の妻を殺し、同僚だったのに自分を庇わなかった警官を殺した。
「谷津、この事件の手持ちの情報を無料で開放して」
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