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「仲が良いということはいい事です。でも、無理をするというのは、愛情ではありません。痛い時は、はっきりと痛いと伝え、対策しましょう」
「……はい」
小学生でも、×の成長はまちまちで、あっという間に大人になってしまう者もいた。そんな場合は、性教育もしなくてはならないらしい。そこで、怪我だけには気を使っているという。子供は、最初から加減が分からずに、暴走しがちであった。
「暴走ですか……」
「子供のままで体が大人になった場合は、加減が出来ずに、相手を殺してしまいそうになります」
×の成長は、それ程までに危険であったのか。俺は成長が遅かったし、志摩は成長が分からないので気付かなかった。
「私は、子供達を可愛いと思っていた。一体、何があったのでしょうか?」
当時の記録はあまり残っていないが、十六名が喰われたとなっていた。
「……御影屋、あるといいですね」
「それは、李下さんが問い合わせています」
どことなく、直江津が悪い人間では無いように思える。
そこで、バイトの時間になったので、俺は身支度を整えて、志摩と一緒に喫茶店ひまわりに行く。厨房では、多美と俊樹が、料理をしていた。
「多美さん、二十年前に生徒を喰って失踪した、直江津の事件を知っていますか?」
多美は、片手で大鍋を振っていた。この大鍋は、五十人前というような量の煮物が入っていた。多美も×で、かなり長命であり、かつては教育係もしていた。
「ああ、知っているよ」
生徒の目撃者は多かったというのに、皆、ショックで事件当時の記憶を失ってしまったらしい。そこで、失踪した直江津が犯人となっているが、真相は分かっていない。
「……あれは、放課後でね……」
授業が終わった後で、校舎には人が少なった。しかし、教室には吹奏楽の練習をするために残っている生徒がいた。もうすぐ発表会で、家では楽器の練習ができなかったらしい。
他に、バスケットをしている小学生がいた。同じく、試合が近く練習していた。
事件が発生し、多美も学校に駆け付けた一人であった。多美は、元教育係であったので、×の暴走には慣れていた。今回も、成長途中の×が暴走したのだと、多美には伝えられていた。
まず、多美は犯人を確認しようとしたが、校舎には誰もいなかった。校庭には、他に数人の先生がいたが、現場を目撃していない。そこで、数人の先生と、校舎の中に入った。
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