第十六章 思い出の中の悪魔

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 蜘蛛の一件が落ち着いたと思っていたら、兎屋から呼び出しがかかっていた。どうも、西崎が大変な事になっているという。  金曜日の午後に、谷津を誘って村に行こうとしていたが、谷津は用事が入ってしまっていた。 「ごめん、上月。学校の行事に駆り出されてしまった。これから学校に行く」  谷津も、こちらの世界に馴染んだ方がいい。学校の行事に参加するならば、無理には誘わない。  一人で家を出ると、李下に見つかってしまった。 「上月、一人で行動するなと言っているでしょ……」 「兎屋に呼び出されています」
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