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そこで、李下が困ったような顔をしていた。
「兎屋の呼び出しならば、行かないといけないな……偉智、店を頼む」
そこで、李下と一緒に村に行く事になってしまった。
李下はご神木を、降りるというよりも、飛び降りる。そして、境内には既に車が用意されていた。
「姉さんが、こちらの行動を読んで用意するのですよ」
李下の姉も、暗殺部隊だったか、征伐部隊にいたので李下の行動が分かるらしい。
「兎屋ですね」
そこで、車で兎屋に行くと、確かに何かが起こっていた。西崎は店で店員をしていて、小出は庭で芝刈りをしていた。
「西崎が働いている……」
兎屋は横から出てくると、慌てて日傘を差していた。
「それがね……」
「俺、小出さんと結婚することにしました」
西崎が、兎屋に向かって言っていた。
「西崎君ね、蜘蛛使いになると決めたらしいのよね。そこで、小出さんについていきたいと言い出して……」
「俺は認めていない!」
小出は了承していないらしい。
「まさか、これで呼び出していないですよね……」
兎屋の目が泳いでいたので、これで呼び出したのかもしれない。
「西崎君には、蜘蛛を入れて様子をみているところでね。順調だけどね、やはり、再生には時間がかかりそう。今のペースだと、五年はかかるかしらね」
五年でも再生が進んでいるのならば、問題はない。西崎は、五年間、蜘蛛を観察し続けるのならば、蜘蛛使いになりたいと思ったらしい。
「毎晩、抱いてくれるのは、嘘なのですか?」
「あれは、内臓の具合を確認する意味もある」
まあ、嫌いならば、毎晩そんな方法で確認しないだろう。谷津は振られたのかもしれないが、これは、これでいいのかもしれない。
嫌がっているが、小出もどこか覚悟を決めたようで、死んだようになっていた表情も明るくなっていた。それに身綺麗にしているので、最初よりも若く見える。
「俺は、蜘蛛使いになります」
「それは反対していないよ。むしろ、応援している」
痴話喧嘩を見ているつもりもないので、携帯電話を手に取って、谷津に連絡しようとした。すると、谷津から短いコメントが入っていて、『知っている』とあった。この知っているは、西崎の現状であろう。
「だから、来なかったのか……」
谷津も今は、西崎に会いたくなかったのだろう。
「上月君、兎吉屋にお願いします」
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