第十七章 思い出の中の悪魔 二

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 そこで、見てしまったものを、言葉で表現しようとしたが、吐きそうになってしまう。里琴ではないが、記憶を消して、封印してしまいたい。  すると、大慈が来たので、手で持ち上げて小出の前に持っていく。大慈は、小出の頭に直接、見た場面を伝えてくれた。 「……これ、全部、まだ生きているのですね。しかし、複雑に作ってくれましたね。犯人は自分しか、この内臓を維持できないと主張しているのですね……」  小出は、目が真剣になっていた。俺のようにショックを受けているのではなく、犯人の挑戦を受けているようだ。 「里琴さんに会わせてください。蜘蛛を行かせましょう」  リンクの先は分からないが、まず温度と湿度を必要とするので、地下の可能性が高いという。リンクも、そんなに遠くにはできないらしい。  リンク先を見つけるよりも、リンクから人を出した方が早いという。 「ここから、人を出すのですか?」  部屋自体が臓器となっているので、どう出したらいいのか分からないのだ。 「西崎の泥人形、作ったのは守人様だと聞きました。多くの泥人形を用意してください。蜘蛛に、泥人形と頭を繋いで貰い運びます」  俺は李下を呼ぶと、状況を説明し、大慈の記憶を渡しておいた。李下は、小出を連れて、里琴へと案内していた。  俺は、泥人形を作るべく、兎屋の裏手に回る。 「地神丸!」  泥人形と言っても、子供から大人まであるうえに、性別もある。どこから作ったらいいのか、考えてしまった。 「子供からだよ。女の子、十歳くらい。男の子、六歳くらいを、まず一体ずつ作って」  谷津の声がしたので、携帯電話を見たが、通話にはなっていなかった。 「上月。心配で、来てしまったら、又、犯罪ですか……多すぎ!」  谷津も大慈から記憶を貰い、それを端末に保管するという離れ業をやっていた。そこで、谷津の仲間も、救助に手を貸してくれていた。 「かつて、俺の体を探すのに手を貸してくれた人ね」  部屋にいる顔から、いつ行方不明になったのか、誰なのかまで割り出し始めているらしい。そこで、割り出した人物の病院カルテから、体の特徴を作り上げていた。  谷津はアバウトな指示ではなく、詳細を画面に出していた。 「細かいね……」 「多少は違ってもしょうがないけどね」  身長から、利き手、目の色なども指示されていた。 「子供は、比較的最近の行方不明だからさ」
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