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小出は短く答えていた。それでは、泥人形のままでいるしかないのか。俺も、泥人形には詳しくないので、生きていられるのか自信がなくなってくる。
「でもな、ある限りの臓器も持ち帰る。手足の再生と、内臓の再生は別々だが成功しているので、調整してみるよ」
このまま、生きた地獄にいるよりも、元の世界に戻してやりたい。もしくは、今、あのリンクにいる者の願い、死を与えてあげたい。でも、助けられずに殺すということが、犯人の狙いならば、犯人の望み通りにはしたくない。
「でも、蜘蛛は病んだ精神は治せないからな……」
確かに、閉じ込められた状態で、恐怖を与えられ続けているので、正気なのかは分からない。
「上月、蜘蛛を一匹貸して、カメラを付ける」
そこで、小出が一匹貸してくれた。
「犯人もリンクの先にいるのでしょ?大丈夫かな……」
「それは、俺が行こうと思っている。蜘蛛の遠隔操作には限界があるからね」
小出が行くと言っているが、小出は人で戦闘員でもない。長く生きているので経験は豊富であるが、犯人に対しての戦いは不利であろう。
「なら、俺も行くか……」
この中では、俺が一番リンクに馴染んでいるだろう。
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