第十七章 思い出の中の悪魔 二

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「四十代男性五体」  何体分作ればいいのか、分からなくなってきた。 「これだけの人数を、食べてきたのですよね……」 「高値取引の、妙薬として売っていたようですよ。効き目もあったようです」  泥人形に熱中していると、李下がリンクに入ろうとしていた。 「李下さん、俺も行きます」 「上月は、もう少し、泥人形を作っていてよ。俺は、修羅場にも慣れているから、多少は平気でしょ」  どうも、泥人形という役目を与えて、俺を行かせないようにしている。俺は、谷津のデータを見ると、急いで泥人形を作成し、投げ込んでおいた。 「リンクに行ってきます」  危険な場なのだとは分かっているが、逃げてもいられない。  里琴のリンクに入ると、そこは霧の中であった。霧の中に、泥人形が散らばっていて、かなり怖い。  俺は泥人形を操り起たせると、蜘蛛の案内で霧の中を歩き始める。 「上月、つくづく危険な所に行くよね」  声は聞こえているが、姿が見えない。これは幻聴なのかと無視していると、肩を掴まれていた。 「黒川さん、どうしてここにいるのですか?」 「李下から連絡を受けた。永新も来ていると思うよ」  これは、犯人の罠なのであろうか。こんな所に黒川がいてもいいのか。 「上月、霧に惑わされるなよ」  そこで、黒川が風で霧を払ってくれた。  霧が払われても、どこか世界が暗い。そのまま歩こうとすると、黒川が溜息をついていた。そして黒川が、俺を後ろから蹴飛ばしていた。 「上月、光。何の為の守人様なの」  蹴飛ばさなくてもいいだろうと、黒川を睨んでいると、黒川が空を指差してみた。空はフィルターが掛かったような、暗い色になっていた。 「白光丸」  白光丸の光で照らしながら、空に結界を張ってみた。 「よし、電波が通じるようになった」  そこで、黒川が谷津に電話していた。 「谷津か?ここは、どこだ?」  携帯電話の位置情報から、現在地を割り出しているらしい。 「海かと思いましたが、衛星写真を見たら、小島ですね。人は住んでいません」  無人の小島であっても、電話がかかるというのは驚きであった。すると、近くに人の住む島もあるらしい。  結界によって、澱んでいた島の空気が動き出していた。そして、ここは人がいないが、ヤギは多くいた。俺の近くにも、ヤギが寄ってきている。 「さてと、小出を探すか……」
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