第十七章 思い出の中の悪魔 二

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 黒川は、サルを切り殺すと、頭を泥人形に投げていた。すると、案内してくれていた蜘蛛が、頭と胴を繋いでくれた。  万能ではないので、ここに監視カメラを置いている。人肉で何かを作り、売買しているのは、こんな生活でも、金を必要としているということだ。 「きっかけは病気。付き合いで飲んでいたのに、発症した、肝硬変あたりでしょうヵ」  好きではない酒で、体まで壊してしまった。付き合いを断れないタイプで、社会にも馴染んで生活していた。でも、ストレスばかりたまる。妻は、引き籠もりのような寄生人間になってきた。娘は、男と遊び歩き、どこにいるのかも分からない。 「健康な血を摂取すると、健康が感染してゆく……」  健康というのは、感染していない状態で、健康が感染しているのではない。 「もっと、もっと血が欲しい」  血にこだわっているようだが、生というものにも執着を感じる。 「最初に解体したのは、妻でしたか?」  でも妻は健康では無かったので、成果が無かった。そこで、娘も解体した。そこで、病気の改善があり、健康は感染するという持論に至ったのかもしれない。 「モモコ!」  呼んで来たら怖いと思ったが、後ろを確認してモモコがいない事を確認しておく。  屋根から地面に降りて、犯人の居場所を考えてみる。隠れて見ている、監視カメラは電気を必要としているので、電気のある場所に限定される。  電気の配線を辿っていると、分電盤のような場所に永新の姿を見つけた。 「永新さん……」  永新の横から黒い影が来て、永新は屋根に飛び乗っていた。 「モモコ!俺を突き飛ばすな!」  永新が、モモコを見下ろし怒っていた。
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