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松明と月に照らされた世界には、蜘蛛と小出だけがいた。
『異種は全滅したようです』
けれど、小出は何かを探していた。
『雌はいなかったようです』
では、西崎を食った蜘蛛はどこかに逃げてしまっているのだ。
夜の森を歩き回る小出を見ながら、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。
翌日、目が覚めると志摩の手の中で、寝返りを打つと身を丸める。志摩の手をノックする誰かがいるので起き上がってみると、谷津が俺を見下ろしていた。
「西崎が蜘蛛に食われたそうだ」
それは、俺も知っていた。
俺は手を伸ばして、谷津も志摩の手の中に入れると、一緒に寝転んだ。
「食った雌は見つかったの?」
谷津は首を振っていた。
「西崎は人で、喰われるとかの世界には住んでいないと思っていた……」
×ならば喰われる事は日常である。でも、人は喰われるということがない。もしも、小出が昼も起きていたら、蜘蛛の異変に気付いただろう。もしもなど考えても仕方がないが、やはり悔やまれてしまう。
「西崎の親は、行方不明で死亡にはしないと言っている」
死体があった訳ではないので、行方不明にするというのも頷ける。小出は、西崎を食ったと推測される、雌を探すらしい。
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