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やはり気になっているのは、直江津で、何故、今現れたのであろう。直江津は、二十年間の記憶も持たずに、しかも、こちらの世界で彷徨っていた。
それと、直江津の妻とはどんな人であったのだろうか。
大慈が俺の指を踏みつけ、講義を聞けと言っている。俺も学生なので、しっかり勉強しなくてはいけないだろう。そこで、暫ししっかりノートを取ったが、又、気になる事を思い出してしまった。
古参の×だった直江津は、崩壊の可能性があっても、暴走の可能性は無かった。では、やはり、暴走したのは生徒であったのではないのか。
やはり、直江津と兎屋に行って来よう。
ノートに兎の絵を描いてしまったので、大慈に俺が集中していないとバレてしまった。
「……守人様、今度、村の図書館に連れて行ってください」
消しゴムを椅子にして、大慈が見上げてきた。大慈もミイラのままなので、もう少し水分を与えてやりたい。その前に、布を巻きつけているだけの服を、ちゃんとしてあげたい。大慈の服は、紗英に頼もう。
「……村で発生した事件を知りたいです」
「……分かったよ」
しかし、村の図書館など、どこにあっただろうか。学校には図書室はあったが、文学しかなかった気がする。
そこで、講義が終わったので、移動しながら旗幟を見つけた。
「旗幟、紗英さんに大慈の服を頼みたいのだけれど」
「そうだね。ボロボロだものね……姉さんに言っておくね」
そこで、旗幟に又事件に関わっているのと責められてしまった。
「慧一さんも、姉さんも心配するから、程々にね」
しかし、旗幟は携帯電話を取り出すと、俺の話を聞こうと構えていた。最近、分かってきたのだが、旗幟も結構、野次馬の性質があった。それに、検索マニアに近いものを感じる。
俺は、五十鈴が他の人と話しているのを確認すると、階段の踊り場に身を隠す。
「……二十年前に失踪していた、直江津という小学校教師。十六人の小学生を喰ったとされる」
「その人を捕まえたの?」
俺は、頷きながら、直江津の記憶がなく、真実が分からない旨を伝える。状況からは、生徒が暴走した可能性が高い。直江津は、生徒を庇ったのであろうか。
「その事件は知っている」
どうして旗幟が知っているのであろう。すると、村の事件史というデータを見せてくれた。そこには、過去の事件を捜査しているメンバーとの交流があった。
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