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お茶を淹れなおそうと腰を浮かしたところでこちらへ向かって歩いてくる背の君と小野悟が見えた。 時間がかかった割には荷物が少ない。 シンプルな紙袋ひとつとパンツが入っていそうな意匠の袋は持っていたけど。 その紙袋が目の前に置かれた。 「コレ、どうぞ。」 「…え?私に?」 「はい。」 紙袋にはふたつの箱が収められていた。 包みをあけると、ルパン三世の石川五ェ門が持っていそうな白鞘の日本刀を模したナイフ…いや小刀というべきだろうか。 それが大小1丁ずつのセットが2セット。 それぞれが桐箱に収められていた。 えぇっ? 「…これ、まさか特注品?」 「はい。このあたりの旅番組のロケでお世話になった鍛冶屋さんお願いして造ってもらった鉛筆削り用のナイフです。自宅用と携帯用、研ぎに出したときの予備も1丁ずつです。」 ネタ元は背の君なんだろう。 ぎりっと背の君を睨みつけたけど、背の君はあらぬ方を向いていて目を合わせようとしない。 「…なんで?」 「あの…だから…出世払い、です。」 「へぇっっ???」
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