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行こうか。 背の君とともにフードコートへ向かう。 昼には少し遅い時間帯だったのにうっすら混んでいた。 名物、というのだろうか。 地元グルメの焼きそばを注文して、番号札、というのか。出来上がりを知らせるブザーを手に席を探す。 テーブル席はほぼいっぱいだった。 少人数向けなんだろうか、カタカナのコの形に設えられたカウンター席がちょうどふたつあいている。 コの字の縦棒にあたるところだ。 ここに決めて、腰掛ける。 ウォーターサーバーへ行った背の君がコップを二つ手にしてうろうろしているのが左前方に見えて手を振る。 彼は、大股ですたすた歩いて来てことりと紙コップを置いた。 ひとつはお茶、ひとつは水だった。 名産地だけあって、無料のお茶なのにおいしい。 「やっぱ、コレって富士山の天然水なのかなぁ…」 水のコップに視線を落とす背の君のつぶやきにはっとする。 富士山の伏流水が上水道に使われているなら、なんて贅沢な土地なんだろう。 わざわざそれを使わない理由もないはずだし、きっとそうなんだろう。 老後はここで暮らせたら素敵かもしれない。
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