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さっきの席はあいていなかったけど、こんどはテーブル席に空きがちらほらある。
給茶機からお茶を淹れて、大きな柱のすぐ横にある席に腰を据えることにしてプロット帳を広げ鉛筆をとりだす。
原稿はパソコンで書くけど、プロットまではとにかく紙と鉛筆。原稿直しも印刷したものに赤鉛筆で書き込む。
そしてそれらはできる限りカッターナイフで削る。鉛筆削りじゃなくて。
背の君はそれを不思議そうにみている。
口には出さないけど、なんでわざわざ手で削るんだよと言いたげなのは十分承知していた。
一見、カッターナイフで削る時間が無駄に見えるようだけど、そうじゃない。
その時間が頭の中でぐるぐるしていた余分なものも一緒にそぎ落としてくれるのだ。
アナログにはアナログの良さがあるのだ。
確実に。
いつも持ち歩いているプロットメモと鉛筆とフードコートの店が一緒に写るような角度で撮影する。
ここでプロットを書いているわ。の言葉と共に背の君へ送信した。
直し部分の設定をあーでもないこーでもないとパターンを挙げて図にしてなんて作業を繰り返して、ようやく形になったところで手を伸ばしたお茶はすっかり冷めていたけど、これはこれでおいしかった。
そして、時計を見るとすでに一時間が過ぎようとしていた。
あの3人組かほかのファンにでも捕まって騒ぎになっていなければいいけど…
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