月とペンギン
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塾の宿題をやっていると、部屋のドアを三回叩く音がした。人の部屋に入る時にそんな律儀なことをする奴はうちの家族にはいない。おれが返事するのをしっかり待ってから入ってきたのは、思った通り幼馴染みの上林知路だった。 細身で長身、銀縁眼鏡をかけた精悍な顔立ち。「硬派」とか「ストイック」という言葉がぴったりな雰囲気の持ち主は、何とも似つかわしくないものを手にしていた。 「何それ」 「ヌンチャクだな」
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