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一度伏せた目を窓の外に向けて、知路は呟いた。
「やはりそうだろうか……。先日進路調査票にそう書いて提出したら、担任に放課後呼び出されて延々説得された。しまいには涙まで浮かべていたな……」
「まぁ、そうだろうね……」
おれも何となく窓の外を見ながら言う。
結局、おれたちは同じだ。手の届かない月を欲しがって泣いている。
窓から射し込んできた西日に目を細めながら、おれはぼんやり呟いた。
「本当に欲しいものって、手に入らないものだねぇ」
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