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パティシエールの私の毎日は、うちのお店『パティスリー・シエル』の名を世に知らしめるような素敵なスイーツを作る為の試行錯誤に費やされている。
父のケーキは見た目がシンプルというか昔ながらの定番というか、有名店のスイーツには華やかさで負けてしまう。
味では負けてないと思うんだけど、SNS映えを重視する最近の風潮を考えると、スイーツの見た目にもお洒落な華やかさが必要だと思うのよ。
見てるだけでワクワクするような可愛くてお洒落なスイーツ。
もちろん見た目だけじゃなく、食べたら思わず笑顔になるような美味しいものを作りたい。
私の作ったスイーツを見て、食べて、幸せな気分になってほしい。
味にうるさい父に認められるよう研鑽しつつ、自分の腕を磨くのとお店の知名度を上げる為にも大小様々なコンクールに精力的に申込んでるから、毎日はあっと言う間に過ぎて行く。
こんな感じで私に恋人どころか恋する気配すらないからか、最近は両親からも心配されて
「このままうちの店で働くだけじゃ出会いも無いし婚期を逃して売れ残りそうだから、もう一度ホテルのパティスリーとかに修行に出るか?」
「クリスマスデートしたいなら閉店まで店番しなくてもいいのよ?ケーキ屋の娘だからって、親に気を使って毎年クリぼっちしなくてもいいんだからね?」
なんて言われる始末。
まだ結婚とか考えてないからいいの!
昔はクリスマスケーキ理論とかいう、女性の婚期をクリスマスケーキの需要に喩えて25歳(25日)を過ぎたら売れない、なんていう失礼極まりない考え方もあったらしいけど…そんなの時代錯誤のセクハラ理論だからね?!
ていうか、そんなケーキにも女性にも失礼な理論を提唱したのはどちら様かな?!
ケーキに種類があるように、ケーキの美味しい時期だってそれぞれなの。
デコレーションケーキは作り立ての方が生クリームも果物も美味しいけど、ガトーショコラやベイクドチーズケーキ、タルトタタンにパウンドケーキにetc. 寝かせた方が味が馴染んで美味しくなるものだっていっぱいある。
ケーキだって人間だって、それぞれ違う個性と魅力があって、適した時期もそれぞれなの!
それにクリスマスはキリストの誕生日であって、恋人達の為のイベントではない!
彼氏がいなくたって夢に向かって充実した日々を送ってるんだから、クリぼっちなんていう一言で片付けるのはやめていただきたい!
「そんなこと言ってるから彼氏できないのよ~」
って妹にまで言われた。
いいの!スイーツが恋人なの!
Sweets is my sweet !
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