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からかうような口調に、アキラは肩をすくめる。
「小学生じゃないんですから、パトカーに乗せてくれなんて言いませんよ。パンダカラーの車でないなら是非お願いします」
渋滞を見越し、すぐに出るから外で待つようにと言って、神崎は刑事課に戻っていった。
アキラは受付で報道部に連絡を取ってもらい、電話口に出た石井に事情を説明してから 正面入り口の前で神崎を待った。
時間的には余裕があるが、見上げた空の雲行きが怪しい。
成田空港まで、渋滞に巻き込まれない限りここから二時間もあれば着けるはずだ。しかし雨ともなれば、順調にはいかない。
運転席の窓から手を挙げ合図した神崎の車に近づき、アキラは窓越しに尋ねた。
「助手席に座っても良いですか?」
「いいとも」
警察車両の助手席に座れるのは、ちょっと嬉しい。
わずかな高揚感は、すぐに見抜かれ神崎が微笑んだ。少し居心地の悪さを覚えが、不思議と悪い気分では無かった。
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