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「後でお前から聞かせてもらうよ。すみません、石井さん。知人にちょっと用があるので席を外させてもらっても良いですか?」
「もちろん、かまわんよ。もともと君は和紀に付き合って来てくれたんだろう? 私たちは暫くここにいるから、用が済んだら戻ってきたまえ。署内を案内してあげるよ」
「はい、ありがとうございます」
部屋を出ようとしたアキラはドアに手をかけて立ち止まると、振り返って鷺ノ宮を見た。
「鷺ノ宮さん……貴方はいま、安全なところにいる自分が嫌いなんですか?」
一瞬二人の視線が交錯する。
鷺ノ宮はタバコを灰皿に強く押しつけ、苛つきを隠そうともせず立ち上がった。
しかし、言いかけた言葉を聞こうともせずにアキラは部屋を出ると、静かにドアを閉じた。
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