【第1章 アキラ】

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「後でお前から聞かせてもらうよ。すみません、石井さん。知人にちょっと用があるので席を外させてもらっても良いですか?」 「もちろん、かまわんよ。もともと君は和紀に付き合って来てくれたんだろう? 私たちは暫くここにいるから、用が済んだら戻ってきたまえ。署内を案内してあげるよ」 「はい、ありがとうございます」  部屋を出ようとしたアキラはドアに手をかけて立ち止まると、振り返って鷺ノ宮を見た。 「鷺ノ宮さん……貴方はいま、安全なところにいる自分が嫌いなんですか?」  一瞬二人の視線が交錯する。  鷺ノ宮はタバコを灰皿に強く押しつけ、苛つきを隠そうともせず立ち上がった。  しかし、言いかけた言葉を聞こうともせずにアキラは部屋を出ると、静かにドアを閉じた。
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