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ポカンとした間の抜けた顔をする秋哉に、テッペーは、
「俺さっき、チラッと人影を見たんだよ。お前を狙って石を投げたのって、アレ、女だった」
「……」
「てーことは、お前、女に恨まれてるってことだろう。普通に考えれば、ツレなくした女が逆恨みしてる、ってことじゃねーか」
それはそうかもしれないが、
「落ち着けテッペー。オレは誰もフってないし、ナンパなんてしてない」
それから意を決して、
「誰かに恨まれるほど、モテた試しなんかねーよ」
自分で言って、少し悲しくなった。
しかし例えば、秋哉の兄の夏樹などは、兄弟が呆れるほどよくモテる。
しかも夏樹は、モテるくせに誰のものにもならない。
まるで風に揺れるヤナギみたいに、あっちをふらふら、こっちをふらふらしている。
だから夏樹はいろいろなところで恨まれている。
お陰で、秋哉は女と付き合うことに慎重になった。
中学生の秋哉に、なんと復讐の相談をしてくる女さえいたのだ。
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