2.ラファエル(守護天使)

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ポカンとした間の抜けた顔をする秋哉に、テッペーは、 「俺さっき、チラッと人影を見たんだよ。お前を狙って石を投げたのって、アレ、女だった」 「……」 「てーことは、お前、女に恨まれてるってことだろう。普通に考えれば、ツレなくした女が逆恨みしてる、ってことじゃねーか」 それはそうかもしれないが、 「落ち着けテッペー。オレは誰もフってないし、ナンパなんてしてない」 それから意を決して、 「誰かに恨まれるほど、モテた試しなんかねーよ」 自分で言って、少し悲しくなった。 しかし例えば、秋哉の兄の夏樹などは、兄弟が呆れるほどよくモテる。 しかも夏樹は、モテるくせに誰のものにもならない。 まるで風に揺れるヤナギみたいに、あっちをふらふら、こっちをふらふらしている。 だから夏樹はいろいろなところで恨まれている。 お陰で、秋哉は女と付き合うことに慎重になった。 中学生の秋哉に、なんと復讐の相談をしてくる女さえいたのだ。
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