2.ラファエル(守護天使)

5/9
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「オレは女に恨みをかうようなマネはしねーよ」 「でもアキ、こないだだって階段で突き落とされたり、黒板が倒れかかってきたりしたじゃねーか」 「階段はオレが自分で勝手に転んだんだし、黒板だって、留め金が古くなってたんだよ」 秋哉は、その時のことを思い出しながら、 「階段には、テッペーの他には誰もいなかっただろーが。黒板だってグーゼンだよ」 「そうは言ってもよぉアキよぉ」 テッペーは心配そうに眉をひそめて、 ――ガシッ いきなり秋哉の両脇を掴んだ。 「ウヒャッ」 弱いところを突然触られて、秋哉は甲高い女のような悲鳴をあげる。 テッペーは、そのままモミモミモミと、秋哉の横っ腹を揉みあげて、 「だってお前、ここんとこちょっと痩せちゃったしよぉ」 「ギャアアアア! よせテッペー」 「思い悩んでいるんじゃないかと思ってよぉ」 「やーめーてーくーれー!」 秋哉はテッペーの腕を振り切って逃げる。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!