76人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
しかし、
「助かったじゃねーよアキ」
「来生くん、大丈夫っ!」
保健医も車から転がるように降りてきた。
「危ないじゃないの! 一体どうしたの、めまいでもした?」
そう聞かれて秋哉は、
「すいません。ちょっとつまずいちまったみてーで」
「つまずいたってアキ、今の――」
すぐ側にいたので、秋哉が嘘をついていることに気づいて、テッペーは何か言おうとするが、
「ちょっとボーっとしてただけだよ。センセーすんません。病院にお願いします」
秋哉は、
「テッペー、お前はもう教室に戻れ」
テッペーに何も言わせなかった。
「……アキ」
「いいから戻れよ」
秋哉は素っ気なく言って、テッペーに背中を向ける。
保健医の車にさっさと乗り込んだ。
「……アキ」
校門を出て行く秋哉を乗せた車を見送って、テッペーはなんとも言えない不安を抱えていた。
最初のコメントを投稿しよう!