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「……気づいてたのかよ、ハル」
「気づかないわけがあるか。だけどお前にも訳があるんだろうと、見ないフリをしてた。だが」
チラリと鈴音を見上げて、
「鈴音にまでこんなに心配をかけて。黙っていられるわけがないだろう」
秋哉は、ようやく思い出したように、鈴音の顔を見た。
鈴音は何も言わないが、体の前で両手を組んで、秋哉のことを心配そうに見つめている。
いつも、秋哉の怪我を一番心配してくれるのは鈴音だ。
今回も学校からの連絡に、肝を冷やしただろう。
春一と合流するまで、心細い思いをさせたかもしれない。
「スズネ、ごめん」
秋哉は素直に頭を下げた。
そして、
「中学んときのトモダチと会ってたんだ」
それから、
「でもそいつ、もう死んでるっていうんだ」
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