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1.ウリエル(懺悔の天使)
朝食のご飯茶碗を持ったままで、コクリコクリと舟をこぐ秋哉に、
「秋兄、絶対におかしいよね」
「うん。秋哉くんがご飯の最中に寝ちゃうなんて、いくら疲れているにしてもありえない」
冬依と鈴音はひそひそと相談する。
「どこか具合でも悪いのかな」
「そりゃあ、昨日、車にひかれかけたんだもの。何ともないって言ってたけど、頭でも打ってるのかも」
自分で言って寒気がしたようだ。
「どうしよう春さん、病院に――」
パッと顔をあげて訴える鈴音だったが、
「あ、起きた」
秋哉は何ごともなかったかのように、目覚めた瞬間からわしわしとご飯をかっ込み始める。
まるで自分が眠っていたことに、気がついていないようだ。
「……秋哉くん?」
鈴音が恐る恐る声をかけると、
「ん?」
秋哉は顔をあげ、
「スズネ、おかわり」
空になった茶碗を元気に差し出した。
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