74人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
じゃれついてくるのを適当にかわしていると、
「俺はいいけど、カズちゃんには声をかけてやれよ」
テッペーはわざとらしく鼻を啜ってみせながら言う。
秋哉が、
「……なんで三嶋」
聞きかけると、
「ツレねーこと言ってんじゃねーよ。アキが病院に担ぎ込まれたってんで、カズちゃん、顔色が変わるくらい心配してたんだから」
「……」
テッペーが三嶋のことを、
『カズちゃん』
と呼ぶのは、いつ聞かされても、なんとなくイラッとする。
それはこんな時でも変わらない。
だから、ムカつきついでに、
「別にオレは、三嶋とはダチってわけじゃねーぞ」
憎まれ口をきいてみたが、
「いいから、行ってこいって」
テッペーは華麗にスルーしてくれた。
正直、納得できたわけではないが、
「……」
それでも、傍目から見てもわかるくらいに心配してくれたのなら、挨拶のひとつもするのが礼儀だろう。
「ああそうだ。レーギだ。ハルのヤツ、レーギにはうるせーからな」
自分になんとなく言い訳して、教室に入ると、まず三嶋の姿を探した。
最初のコメントを投稿しよう!