1.ウリエル(懺悔の天使)

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無言で茶碗を受け取って、おかわりをよそってやる鈴音だったが、 「イヤーなんでだろ。最近すっごく腹がへるんだよな」 秋哉は一時も待てないという風に、手近なおかずを箸でつまんで口に運ぶ。 「育ちざかりだからだな」 自分で不思議がって勝手に納得して、ついでに冬依の納豆に手を伸ばして、あっという間に小鉢を空にした。 納豆は飲み物だとでも言わんばかりの勢いだ。 そんな調子で、続けざまにどんぶり茶碗に飯を4杯たいらげると、 「ごっつぉーさん。んじゃ、行ってきます」 カバンをつかんで立ち上がり、 「おらトーイ。先いくぞ」 「あ、うん。待ってよ秋兄」 いつもと変わらぬ様子で家を出ていく。 その背中を見送ってから鈴音は、 「春さん」 不安そうに春一を振り返る。 ずっと一緒の食卓に座って、秋哉を観察していた春一だったが、 「まあ、もう少し様子をみてみよう」 そう言うしかなかった。 まだ何も起こっていない。 ――まだ。
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