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けれど秋哉は、
「オレがニブいから、神部はああいうやり方でしか、オレに伝えられなかったんだよ。こういう危険がせまっているから、ちゃんと身を守れって。神部は安井を傷つけたくなかったんだ」
「私が、傷つく……?」
安井はどこか呆然とした様子でそう聞いた。
秋哉は、
「ああ」
うなずく。
「オレが大きな怪我でもしちまったら、安井は結局、自分を責めるだろう。それに、さすが親友だよな。神部がこの世界に留まっているってことも、安井にはちゃんとわかっていた。
それでズルいと思ったのは、本当にオレのことか? 安井は自分を責めてるんじゃないのか?」
「安井ちゃんが、自分を責める?」
三嶋が正解を求めるように秋哉に尋ねてくる。
秋哉は、ちょっと慈しむように安井を見て、
「もう高校生活を送れない神部と比べて、安井は生きている自分自身を、『ズルい』と思い込んじゃったんじゃないのか」
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