77人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、誰ひとり、思いもよらない解答だった。
安井穂希は神部という親友を失って、自分だけが生きていることを、『ズルい』と思い込む。
「神部は、そんな安井をオレに止めて欲しかったんじゃないのかな」
秋哉は空を見上げて、
「そうじゃないのか神部」
誰もいない宙に話しかけた。
もちろん応えるものは、何もない。
だけど安井は、
「――」
何かに打ちのめされたように、真っ青になっていた。
秋哉はそんな安井の肩に、そっと触れる。
それから、
「お前と神部がすっげぇ親友だったのは、オレもよく見てきたよ。だから言える。神部はお前のことをズルいなんて思ったりしねぇ。そんなヤツじゃなかっただろう。なあ安井、お前のことをズルいって言ってるのは、結局、お前だけなんだよ」
「……」
最初のコメントを投稿しよう!