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秋哉がしょっちゅう負う、怪我のことも心配のひとつではあるけれど、秋哉と三嶋の間は、それだけじゃない。
だから、ちょっと言ってみる。
「たとえばさ、アキ」
「ん?」
「あたしがあんたを好きって言ったら、あんた、どーする?」
横を向いて、秋哉の真っ黒な瞳をジッと見上げてやると、
「え?」
秋哉はちょっと呆然として、それから、
「はっ? 嘘、よせよジョーダン」
まるで熱いものにでも触ったように、後ろに飛びすさった。
なんだか、ネコをキュウリで脅かしたようだ。
「は、三嶋。お前ナニ言ってんの? ナニ言ってんの? 腹でもイテーのか」
あたふたと、みっともないぐらいに焦っている。
「……」
秋哉は、コレだ。
名前まで、一気に三嶋呼びに舞い戻っている。
もう――、
「これは極端な例だよ。こんな風に、あんたとあたしでも、いつどんな理由で関係が壊れるかわかんないでしょ」
仕方なく、そう言ってやると、
「は、なんだジョーダンか、そうか、そうだよなぁ」
秋哉はあからさまにホッとした顔をする。
もう……、ため息をつくしかないではないか。
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