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「この、ばかアキッ!」
わざと軽めに怪我した頭を殴ってやったら、
「痛ってー、カズ、なにすんだよ」
秋哉も大げさに反応してくれる。
「……」
しばらくは、この関係を続けるしかないらしい。
雪がチラチラ降り出した中、三嶋はあきらめのため息を隠すつもりで、手袋を忘れた手に大きくフーッと息を吐きかける。
秋哉はそんな三嶋を見て、ちょっと足を止めた。
「ん? 何?」
三嶋が振り返れば、秋哉はボソリと聞く。
「なぁカズ。オレいつも、お前の前でどんな顔してたっけ」
秋哉の頬が少し赤くなっている。
まんざら、無駄ではなかったらしい。
三嶋は肩をすくめると、
「ん? 何よ今さら。心配しなくても、いつもすっごくマヌケ面だったわよ」
「!」
今は、これで勘弁してやることにした。
ーー了ーー
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