2人が本棚に入れています
本棚に追加
「おっ、ひつじちゃん来てたの?あけおめ、ことよろ!」
奥の倉庫兼休憩室から無駄に元気で大きな声が轟いた。
「嶋田さん!あ、明けまして・・・・・・って、ソレは・・・・・・」
「ん?どしたの」
嶋田さんの手には飲みかけの缶ビールが握られていた。
『嶋ちゃん、新年会モードだから。あはは』
羽鳥店長、優しすぎます!!
私の視線に気がついた嶋田さんは、あっけらかんと言い放った。
「コレかい?ふふん。三が日はさあ、無礼講だよ、無礼講!!ホレ、ひつじちゃんも一杯どう!?」
「いえ、飲みたいけど今は仕事中なのでっ・・・・・・!」
「みんなで酔っ払って接客してみようよ!面白いぜ、きっと!」
「いや、子供の前でお酒くさいとか、ないです!」
すると、缶ビールを押し返す私の横に細長い影が現れた。
「ひつじさん、明けましておめでとうございます。そして、もぉぉしわけございません!!」
「松下くん!?」
私の後輩で190センチの長身、通称・脚立要らずの彼が深々と頭を下げている。背は高いけど恐ろしく腰の低い大学生だ。
「嶋田さんの暴挙を止めることが出来ず・・・・・・。たいっへん、もぉぉぉしわけございません!!」
「あの、私に謝らなくてもいいからね?嶋田さんは一人新年会中みたいだから。とりあえず開店準備しよ」
松下くんをなだめながら準備をし、おもちゃ屋ポプラは開店時間を迎えた。
私は『あの決意』を胸に、入口の鍵を開ける。
最初のコメントを投稿しよう!