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「僕、ファラオのしもべ、箱買いする!」
「マジで!?オレも余裕で買えるし」
「箱だったら絶対レア入ってるよな?」
ポチ袋や財布をポケットから取り出しながら、彼らがさっそく興奮気味に恐ろしいことを口走っている。
箱買い?
待って、みんな!
三十枚入りで四千五百円もするんだよ!?
「ねえ、お兄ちゃんたち。夢がないよ!!」
「えぇー?」
「せめて。せめてさ、レアカード入ってるかな?っていうドキドキ感は残さない?お正月だし運試しで!ほら、決闘者なら自分の引きの強さを信じようよっ!!」
「だって効率悪いじゃん」
何、この温度差。私のライフポイントが一気に削られていく。
でも諦めない。心のデッキの一番上のカード。このカードにすべての望みを賭ける。
私のターン!!
「みんな!よく聞いて!箱買いなんかして手に入れたレアカードよりもっ・・・・・・ーー」
「あの、すみませんけどね。孫達に頼まれてメモしてきたの。これ一箱ずついただける?ええ、全部で三箱よ。別々に包装してちょうだいね」
罠だ。
「一万三千五百円に・・・・・・なります」
罠カードが仕掛けられていた。
「今の、翔太のとこのばあちゃんだ」
「魔法の支配者、オレも欲しい」
子供たちの視線が痛い。
大人ってずるい。そんな視線だ。
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