ひつじ VS 大樹

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ひつじ VS 大樹

前半戦終了のゴングが鳴り響き、慌ただしく昼食をとった私は、再びリングへと戻ってきた。 表向きはほのぼのとした夢の国が舞台の戦いである。 レジや雑務が一段落したので、レジと包装台を囲むように置かれているショーケースをテーブル代わりに、カラフルなマジックで手書きポップを書いている時だった。 「ひつじ姉ちゃん!」 聞きなれた、少しハスキーな声の男の子が私の名を呼んだ。 「あっ、大樹くん!明けましておめでとうだね」 「あけおめぇ、ことよろぉ、だろ?」 「ふざけないのっ」 「いいじゃん。ねえ、オレさ今日、超金持ち!!何ででしょうか!?」 ーー来た。 「わかった。お年玉、たっくさんもらったなぁ?」 「アッタリぃぃ!見て見て、ジャジャーン!!」 まるでポーカーゲームの決まり手のように、男の子向けのキャラクターポチ袋を並べてみせる。 ポケモン三枚、ドラえもん二枚のフルハウス、といったところだ。 「すごいね!大樹くん」 これは手強い。一体一つにいくら入っているのだろうか。 「じいちゃんでしょ、ばあちゃんでしょ、帯広のおじちゃんでしょ」と、ポチ袋の裏に書かれてある名前を見ながら軽快に回収していく。
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