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「欲しいゲーム、ぜぇんぶ買えちゃうじゃん!」
キラキラと輝かせた瞳に映るのは、ショーケースにずらりと並べられたゲームソフト。
「オレさ、もう決めてきたんだよね」
「そうなんだ!どれ?」
私の問いに白い歯を見せながら、右手の人差し指がショーケースに向けられる。
お願い、ひとつだけを指しますように!
「スマブラDXと、遊☆戯☆王DM4の海馬デッキとね、パワプロ8でしょ。あとポケモン・クリスタルぅ!!」
はい、しめて二万二千三百九十円になりまぁす!
いやいや、そうじゃなくて!!
「ええ!?四本も買うの?お年玉、なくなっちゃうんじゃない?」
「ブブー、残念でしたァ!三万五千円あるんだよね。本当は城之内デッキも買いたかったんだけど、兄ちゃんが持ってるからさ。ひつじ姉ちゃん、早くしてよ!」
「うっ。そ、そうだ!ほら、大樹くん野球のジュニアチーム入ってるもん、パワプロはいらないんじゃない!?」
「そこ、比べんなよな。全然違うんだってば」
ーー負けるな、私。
「じゃあポケモンは?赤だってね、結局飽きてクリアしてないでしょ?」
「だってさぁ!もう、母ちゃんみたいなこと言うなよ」
『だって』が出た。さてはポケモンの欲しいレベルは低いな、大樹!
断固否定せず、駄々っ子のように唇を尖らせる不満顔の彼を見て、私は勝負に出た。
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