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体調不良のフリして早退してきた自分の不甲斐なさに涙が出る。気持ちが重くて顔が上げられない。
玄関ドアを開けて涙が頬を伝う。しんちゃんが一人で住んでいた頃の方が片付いていたのはわかっている。
苗字の変わった私の帰る場所はここしかないのに。実家に帰れと言われて頭は真っ白になった。
カーテンを開けて吐き出し窓を開ける。
あんな風に通話を終わらせてしまったから、慎ちゃんは絶対にいつもより早めに帰ってくるはず。
それまでにちゃんとしてなきゃ…私には泣いている時間なんてない。
淀んだ空気を早く外に追いやりたい一心で部屋中の掃除機をかけて、お風呂もトイレも目一杯の洗剤を吹きかけて汚れを洗い流した。
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