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「まーた、何かウジウジ考えてんの?澤木と連絡取ってないのかよ」
蘇ってくる懐かしい感覚に鳥肌を立てながらモリへと顔を上げた。
中嶋くんと結婚して去年実家の近くに家を建てた紘子は、子供を保育園に預けて働いていて、その姿は1分1秒のヒマもないほどにいつも慌ただしい。
妻で母で、働く女性で…精力的に一人何役もこなす彼女を頼りにして、独身時代みたいにつるむ訳にもいかない。
「まあ、色々あるから…昔みたいにはいかないよな」
別々の道を選んだ私たちが再びあの頃に戻るはずは無い。
「そうだよ」
壁一面に設置された洗濯機はどれも同じように回転しているけれど、一つとして同じではない。
ぼんやりと眺めてる洗濯機の一つの回転が緩くなって、モリが席を立つ。終了の電子音が響いてドラム式洗濯機の蓋を開ける仕草は慣れた手順だった。
「慣れてるよね」
ふかふかの洗濯物を持ってきたカゴへと移す背中に声を掛ける。
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