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偶然の再会から気の合うトモダチを異性として意識し始めた私たちが等身大の自分をさらけ出して惹かれ合うのは自然な流れだった。
思い通りにならない恋に焦れていたのは私の方で、小百合さんの事故をきっかけにして私たちは別々の道を歩んでいくことを選んだのに。
今、一人なの?
どうして?
店の入口のガラスに強くなった雨粒が当たる。そう、あの日も雨だったとあの日の雨の記憶が蘇る。
「知らない所でやり直したいって言われて…。俺ら腐れ縁みたいなモンだったろ?お互いに未来を考えたら、もういいんじゃないかって話になったってことよ」
どこかの噂話を聞かせるみたいな口調で話すモリは、手際よく洗濯物を畳んでは持って来たカゴへと移す。
「お互いの幸せのために、決めたんだ」
私が納得できてないのを察したモリが大きな困ったように眉を下げた。
そんなこと言って…モリしか小百合さんを理解できる人はいないんじゃないの?
また彼女に振り回されているのかとこっちが苦しくなる。
「事故の後、一緒にやっていく準備もしてたんだ。だけど……前旦那のことが気になるっていうか、やっぱり共通の知り合いも多いらしくて、中々前に進められなくて…」
モリは片付いたテーブルへ浅く腰掛けて脚を組んだ。
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