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時間は限られているっていうのに。潤む目元にマスカラは塗れず、中途半端なアイメイクになった。
いつもなら、二人で洗面所の鏡の前に並ぶのに。クローゼットの扉の裏の鏡を覗きながらネクタイを締める慎ちゃんの背中はたくさんの皺がついてある。
キラキラした朝日に照らされる新婚生活は甘さたっぷりなはずなのに。雨の日の今日は単身用の部屋の狭さが窮屈で息苦しい。
“ごめんなさい…”はいいたくない。
私は精一杯頑張ってやっていて、今日のシャツだってワザとじゃない。
今週はずっと雨に降られていて、仕事も予定がズレまくっていて現場の納期が遅れている。定時に帰れている日はほとんどない。
だからって家事を手抜きしないと決めたからには、晩御飯の準備も片付けも私がやってる。自分が着るシャツなんだから、残りが無いなら昨日のうちに言ってくれたらいいじゃない。
どうして私だけが悪いみたいになってるのよ…
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