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『……もしもし』
覇気のない鼻声の第一声は泣いた後だったのだろう。真亜子とランチに行こうと決めていたから、コンビニに変更になった一人飯が面倒になってきているってのは言わない。
「早退したって聞いたけど、どうしたの?」
『…………』
長い沈黙に電波を確認して些細な情報を探る。
「真亜子?……どこか痛いの?」
無意味とわかっているのに右耳にべったりとディスプレイを押し付けて、左の耳の穴を指で塞ぐ。相変わらずの無音に電話の意味を問いたい。
これは…相当重症なヤツだな。
「しばらく家に帰る?ママに連絡、」
『しないで!!ママには絶対に言わないで!私、絶対に帰らないからッ!帰らない!!」
ここまで追い詰めていたのかと悲痛な声に驚くばかりだった。
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