いつまでも、あると思え親子の絆

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 ビニールハウスや畑に囲まれたのどかな農村地。とある農家のインターホンが鳴る。 「はーい」  少女がガラガラと玄関の戸を開けると、髭と髪をボサボサに伸ばし、あちこちほつれたボロボロのスーツを着た小汚い男が立っていた。 「……茉嶺、でかなったな」 「……お父ちゃん?」  茉嶺はすぐに、目の前の不審者が実の父だと理解した。 「お父ちゃん! 帰って来たんやね! おかえりぃ!」  茉嶺の笑顔に迎えられた幣次は、ややはにかむと髭に埋もれた口を開いた。 「……茉嶺、スマン。お父ちゃん、また文無しになってもうてん」
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