いつまでも、あると思え親子の絆

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「はいコレ。ようやく渡せるわ」 「コレは……?」 「コレな、5年前のお父ちゃんの誕生日プレゼントやねん。こっちは4年前のでこっちが3年前のでこっちが2年前のでこっちが去年の」  クレヨンで描いた似顔絵。折り紙で作った花束。粘土細工の人形。刺繍の入ったハンカチ。木製のオルゴールハウスと順に取り出し見せていく。 「ほんでコレが、今年のプレゼント。まだ未完成やねんけど」  最後に編みかけのマフラーを見せ、茉嶺は照れ臭そうに笑った。  気が抜けたようにボーッとプレゼントの品々を眺める幣次。やがて、呟くようにボソリと口を動かした。 「……どうして、お前のことほっぽったお父ちゃんなんかに。茉嶺お前、お父ちゃんのこと、怒っとらんのか?」 「怒っとったよ。ウチのことちぃーっとも迎えに来いひんし、お土産もパッタリ送ってくれへんようになったし」  そう言って膨らませたほっぺたは、すぐに萎んだ。 「でもお母ちゃんが夢枕に出てきてゆうたんや。お父ちゃんは夢が叶ってちぃとばかしハメを外しとるけど必ず帰って来る。茉嶺のこと絶対に忘れてへんって。せやからウチ、いつでもお父ちゃんが帰って来てええように毎年プレゼント用意しててん」  それまでキョトンとして話を聞いていた幣次は、フッと、息を漏らした。 「……なんやねん。全部、上から見られとったんかいな。恥ずかしいやんか……」  瞳は潤み、顔はみるみる紅くなっていく。ズッと鼻を啜る音が茉嶺の耳に届く。 「なんや、そないに嬉しいん? そらそやろな。5年分いっぺんにもろたんやもんね」  幣次は茉嶺を抱き寄せると、止めどなく流れる涙を小さな肩にぼろぼろと落とした。
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