第一章 千年時計

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「李下さん……」 「上月、下がって!」  赤い月に、人影が浮かんでいた。  今、オープンテラスの鍵は開けていないので、勝手に入った者になる。 俺がドアを開けて出ようとすると、李下が止めていた。 「掟破りを喰らうのは、私の仕事なのでね。上月は中にいてください」  見ただけで、掟破りと分かるものなのであろうか。 しかし、俺が鳴っていた携帯電話を見ると、画面に警告が出ていた。 その警告は、谷津(やつ)からで、近くに人を幾人も喰らった殺人犯がいると知らせていた。 「谷津、あれは誰?それと、先ほど、あれが俺に道を聞いた時には、 警告していなかったよね?」  谷津は、機械に強い×で、俺の幼馴染であった。 今も勝手に俺の携帯電話を遠隔操作していた。
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