第一章 千年時計

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『だから、これも万能ではないの』  谷津は、俺に道を聞いた時から、あれをマークして調査していたらしい。 しかし、谷津も学生であり、時間に制限があったのだ。  李下は煙を出して、一般客から屋上庭園が見えないようにしていた。 その煙幕のせいで、俺も相手の姿がよく見えなかった。 『相手は古参の×で、直江津(なおえつ)という名前だ』  姿はよく見えなかったが、俺に道を聞いた人と同一人物であったと思う。 しかし、俺も守人様ではあるので、見た目で人を判断していない。 道を聞かれた時は人であったが、今は人とかけ離れた存在のように感じた。
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