第一章 千年時計

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 ×というのは、自分にない遺伝子を喰らい取り込み、完全な遺伝子を目指す。 しかし、完全な遺伝子、神と呼ばれるには、ただ喰えばいいのではなかった。 不必要な遺伝子を捨て、進化してゆくしかない。 ただ、多く喰らい続けていると、自身が崩壊してしまう。  直江津は、数百年を生きている×で、それこそ侍の時代から存在していた。 そこで、職務として×を喰らい崩壊寸前に陥り、転職を余儀なくされ、 現代においては教師をしていたらしい。 俺も谷津も現役の学生であったが、直江津という教師は知らなかった。 「谷津、直江津なんて先生はいたか?」 『直江津は、二十年くらい前に失踪した』  だから、俺達には直江津という教師の記憶はない。
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