第一章 千年時計

20/27
前へ
/547ページ
次へ
「化け物ですか?」 「そう。直江津というのは、変化する×で、昔は暗躍部隊、今でいう征伐部隊にいた。 そこで、上の命令のままに×を喰らい続けて、崩壊しかけた」 そこで、何も喰わなくて済む、教師になっていたという。 しかし、二十年前、生徒の×を喰って逃走した。 「失踪ではなくて、逃走ですか?」 「表向きは、失踪だったけどね」  何があったのかは分からないが、ある時、学校の中には×を殺した痕跡があり、 その場にいたはずの直江津が消えていた。 「煙に変化すると切れないし、捕まえられない。そういう厄介な技を使う」 「そういう時はどうするのですか?」  黒川も、五強であるので、対策を知っているかもしれない。  すると、黒川は不思議そうな顔をして俺を見ていた。 「俺ならば、風使いだから、特に問題はない。それに、捕まえるよりも喰う方が簡単だ。 守人様ならば、消すだけでしょ」  ならば、李下ではなく俺が出ていればよかったのか。 今からでも遅くはないので、外に出ようとすると、黒川が止めていた。
/547ページ

最初のコメントを投稿しよう!

191人が本棚に入れています
本棚に追加