191人が本棚に入れています
本棚に追加
直江津は、失踪となった前日の記憶までしかなかった。
そして。最近、目覚めて、村に帰ろうと彷徨っていたらしい。
「御影屋を思い出しまして、私が喰った者を特定してから死にたいと思いまして……」
二十年前、生徒を喰って逃亡したと、他の者から聞き、
どうしても自分が喰った生徒を知りたいと思ったらしい。
「教師としては、生徒を喰うとは、やってはいけない事でしょう」
何があったのか分からないが、
直江津が今の状態ならば、確かに生徒を喰ったというのは信じられない。
「李下さん、どうするのですか?」
「今日は、話を聞いて、明日判断するよ」
直江津の記憶がないので、掟破りだと断定できないのだそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!